この本、めっちゃ面白かったです!

読んで面白かった本だけを紹介します。

『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』(レンタルなんもしない人 著/晶文社)が面白い!

新刊、旧刊、古本、ひところ話題になった本、再読、インディーズ出版、漫画、ムック、雑誌、読める物ならば手あたり次第、なんでも拝読いたします。

読んで、おもしろかった本、おすすめの本しか紹介していません。

読み終えたときに考えたことを書いています。
「書評」ではありません。
本書の内容から逸脱し、さらには内容にまるで触れない場合すらあります。
ご海容ください。

 

『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』(レンタルなんもしない人 著/晶文社)

f:id:cloudbooks:20190509114600j:plain

 

Twitterで話題となった「レンタルなんもしない人」の、なんもしなかった、およそ8か月間の記録です。

 

ほぼ時系列のまま。
縦書きでありながらTwitterのリツイートやリプライ、ダイレクトメールが飛び交うグルーヴを巧みに表しています。
テキストのおもしろさもさることながら、編集のうまさに唸らされる逸品です。

 

登場人物だけで100人はゆうに超えるでしょう。
「なんもしない」「なんもしなくていい」という極めて特殊な人材派遣の様子が、フランスの洒脱なコメディ映画のごとく、テンポよく描かれています。

 

ときには一歩踏み出す勇気がない人のための杖となり、ときにはクロス式の横断歩道のように自分の上を人々が往き交い、ときにはかかしのように突っ立っている。

 

拘束時間が終われば、さほどの想い入れも残さず、さっとその場から去る。
とてもクールな関係なはずなのに、なぜか心にほのかな灯りがともります。

 

僕も、睡眠不足の方のかわりに眠ってあげる、レンタルスリーパーを目指します。

 

「ごく簡単な受け答え以外、できかねます」
twitter発、驚きのサービスの日々

本当になんもしてないのに、次々に起こる、ちょっと不思議でこころ温まるエピソードの数々。

行列に並ぶ、ただ話を聞く、絵画のモデルになる、一人カラオケに付き合う、掃除をしているのを見ている、ドラマに出演する、行けなかった舞台を代わりに見る、カレーを一緒に食べる、ヘッドスパを受ける、裁判の傍聴席に坐る、映画を見る、ボウリングに付き合う、ブランコをこぐのを見守る、ラーメンを食べる、深夜の徘徊に同行する、言われたとおりのコメントをDMで返す、離婚届に同行する、なんもしないホストになる……etc

「なんもしない」というサービスが生み出す「なにか」とは。

2018年6月のサービススタートから、2019年1月31日「スッキリ」(日本テレビ)出演まで、半年間におこった出来事をほぼ時系列で(だいたい)紹介するノンフィクション・エッセイ。

レンタルなんもしない人
1983年生まれ。
既婚、一男あり。
理系大学院卒業後、数学の教材執筆や編集などの仕事をしつつ、コピーライターを目指すも方向性の違いに気づき、いずれからも撤退。
「働くことが向いていない」と判明した現在は「レンタルなんもしない人」のサービスに専従。

『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』
レンタルなんもしない人 著
定価:本体1300円+税

https://www.shobunsha.co.jp/?p=5269

 

吉村智樹メールフォーム

tomokiy.com